英国の陶芸家(兼デザイナー)スージークーパーの作品、1926年頃作製の非常に珍しい「GLORIA LUSTRE」の六角形の蓋付きボックスです。とにかく、まずコンディションの良さに驚きます。はげやすいグロリアラスターですが、ハゲはほぼ見られません。欠けやひび割れはなく、カトラリーキズもほとんどない素晴らしい状態です。おそらくは、未使用のまま長期保管されていたと思われます。そして、この作品の希少価値ですが、これまで多くのスージークーパーの作品を見てきましたが、この六角形のボックスは初めて手にしました。調べましたら、六角形の箱は、書籍「コレクティング スージークーパー」by Francis Josephに、掲載されていました(最後の写真)。ラスターウェアの歴史は古く18世紀に遡ります。釉薬の上から光るメタリックフイルムを掛ける手法です。1926年、24歳のスージークーパーは、当時ある展覧会でラスターウェアの作品を観て感心し、自らも作製を試みました。バックスタンプの「GLORIALUSTER、AE GRAY and Co Ltd.ENGLAND」の刻印は、グロリアルースター作品に高級感を付与するために特別に考案された朝日をデザイン化したものです。ただ、グロリアラスターははげやすく、普段使いには不向きであったため、ごく短期間で製作は終了しました。この希少価値と作品そのものの美しさにより、スージーのグロリアルースター作品は欧米では大変人気があります。スージーのデビューは1922年(20歳)ですので、来年で満100年を経過します。米国税法上、100年以上を「アンテーク」と呼びますので、来年からスージーの作品は順次、名実ともにアンテークとして評価されることになります。サイズは、直径約13cm、高さ約11cm作製年代は、バックスタンプから、1923年~1928年と推定されます。モチーフは、活気に満ちた「青、紫、オレンジのエッジの効いた様式化された果物」です。コンディションは、割れや欠けのない極めて良好な状態です。細かで透明な貫入は見られますが、このように手付かずで残っていたことが不思議でなりません。写真でこの素晴らしさがお伝え出来ていれば幸いです。