閲覧感謝します。当方の自己紹介参照下さい。これは、米国 Impulse が 1960 年代初めに発売した "Ballads" (John Coltrane) を、隣国カナダの Sparton 社が同時期に発売した極めてレアなモノ初回盤です ( ) 。詳細は以下の通り。 (1) 演奏者 : John Coltrane Quartet ( トレイン、マッコイ・タイナー、エルヴィン・ジョーンズ、ジミー・ギャリソンの四重奏団。曲は最後の写真参照 ) (2) タイトル : Ballads バラード :"Giant Steps"(Atl.) と Village Vanguard (Chasin" The Trane 入りの Impulse 盤 ) 等でハード・ブローイング路線を疾走していた 60 年代初めのトレインがちょっと立ち止まり、Cannonball Adderley の”Quintet In Chicago” (Mercury) での”You"re a Weaver Of Dreams” でも見せたリリカルな顔でLP一枚を通した説明不要の名盤 (日本のジャズ批評者達より説得的なコメントが、 Gene Lees のライナーに有り。原文参照下さい)。 (3) ラベル・型番 : Sparton Impulse, A-32 (1961,Canada ； Sparton スパートン社は、カナダの London を本拠にした音響機器会社で、 1960 年代に米国 Impulse の LP を米国と同じ型番で同時発売 ) (4) 盤とジャケットの特徴 : (a) モノラル、 (b) ワインレッドに金色レタリングのラベル ( ステレオラベルは黒色に銀色レタリング。なお当方の記憶では、米国にモノラベルを Burgundy label と呼ぶ業者も存在 ) の オリジナルモノ初版 (Discogs によれば、 Sparton Impulse はモノラルまたはステレオの初版分のみの発売で、再発は無い模様。従って米国盤のように、初回ラベルでも、艶の有無や会社名表記の違い、マスター場所の違い等で、多種のオリジナル盤が存在する問題は無いようです ); マトリクスは、 A-32 A 00-A1 / A-32 B 00-A1 。見え難いですが写真の通り、 VAN GELDER の機械刻印と 手書きのLW 盤とが両面ともに有ります(米国からスタンパーを取り寄せてのプレスでしょう)。約 160g の重量盤、 (c) ジャケは米国仕様と同様、米国印刷の (おそらくダブル) コーティング有りの厚手ダンボール見開きタイプ(但しABC-PARAMOUNTの会社表記)ですが、Impulse ロゴの下に SPARTON の金文字が型押しされ、内側の仕様はセピア色デザインの米国仕様と違って、黒一色でカナダ印刷とSparton の表示有り、 (d) Sparton 製と思われる薄手の紙インナー・スリーブ。 (5) 盤とジャケットの状態 : 盤は両面のビニルの黒色は悪くはないが、両面とも数本の大中の浅い線状の擦れ跡が有り、両面のラベルは良好ながらもスピンドル穴周囲にヒゲが目立つ。しかし再生では、針飛びや耳障りなノイズも無く、1950年代、60年代の廃盤ジャズLPを聴く人ならば、そう気にはならない小さなチリ・プチ音が何箇所かで聴かれる程度。米国Impulseのオリジナル盤は、一見綺麗でピカピカでも、パーンというノイズや(多分リサイクルビニルや粗い粒子のビニル原料を生産時に使用したことに起因すると思われる) 針音ノイズがしばしば気になりますが、このカナダ盤の再生音はでも良好です。次にジャケは抜けや裂けは無いものの、見開き内側の紙上部に黄ばみがある以外に、目立つダメージ有り。即ち写真の通り、コーティングの浮き (正面左)と剥がれ (裏面左部分、更に剥がれ進行阻止目的で当方が実行した小さなテープ貼り有り)、天、底及び背柱の各部に小さい摩耗、破れや紙材露出が点在。以上の内、裏面のコーティング剥がれの箇所から、通常の紙材料ではなく、艶のあるコーティング面が顔を出している。このことから、米国 Impulse の見開きジャケは、ダブルコーティング仕様であったことが分かる。薄手の紙インナースリーブには底抜けは無いが、左右の側に各15cmほどの裂け(当方が同様の性状の紙で補修済)、及び開口部側に小さい破れや裂け(一部は当方補修済)が有る。